概要
2026年3月末から4月にかけて、トランプ大統領が北京を訪問し習近平国家主席との首脳会談が実現した。焦点は半導体輸出規制の緩和交渉とレアアース(希土類)供給の安定化であり、グローバルサプライチェーンに大きな影響を与える可能性がある。パリでの事前交渉を経て、両首脳は「より長い対話プロセスの出発点」として会談を位置づけている。

半導体をめぐる攻防
今回の会談で最大の焦点となったのは、AI半導体の輸出規制問題だ。米国はNvidia製の先端AIチップなど、高性能半導体の対中輸出を厳しく制限してきた。一方で中国は、レアアースや重要鉱物の供給における支配的地位を交渉カードとして活用しようとしている。
会談直前には、米国が半導体輸出ライセンス制度の見直しに着手したことが報じられた。これは規制強化の方向性を示唆しており、「フェンスの高さと庭の広さ」を見極めたい中国側との間で緊張が高まっている。
通商合意の見通し
パリでの事前交渉には、ベッセント財務長官、グリアー通商代表、そして中国の何立峰副総理が参加した。しかし合意可能な成果は当初の期待より限定的で、大豆などの商業購買が中心になるとの見方が強い。
- 半導体分野: グランドバーゲン(包括的取引)には至らず、個別のライセンス交渉が継続
- レアアース: 中国は供給制限をちらつかせつつ、投資誘致の窓口として活用
- 農産物: 即時的な成果として大豆・農産物の大量購入が合意される可能性
日本企業への影響
米中の技術デカップリングが加速する中、日本企業は両陣営との関係バランスが一層重要になる。
- 半導体製造装置メーカー: 米国の輸出規制がサードパーティにも波及する可能性があり、対中ビジネスの見直しが必要
- レアアース依存の製造業: 供給源の多角化が急務。オーストラリア・カナダなど代替供給元の開拓が加速
- DX推進企業: AIチップの調達コスト上昇リスクを踏まえ、クラウドAIサービスへの移行やエッジAIの活用を検討すべき
今後の展望
今回の会談は「長い対話のオープニング」と位置づけられており、12月のG20での習近平訪米が次の重要マイルストーンとなる。半導体規制とレアアース供給という2つの戦略的資源をめぐる交渉は、2026年を通じて世界経済の不確実性要因であり続けるだろう。
サプライチェーンの地政学リスクが常態化する中、企業のDX戦略は「技術選定」だけでなく「調達先の分散」まで含めた総合的な視点が不可欠です。自社のAI・デジタル基盤がどの国の技術に依存しているか、改めて棚卸しすることをお勧めします。