概要

2026年1月、コーレ株式会社が実施した「企業の生成AI利用実態調査」の結果が公表された。生成AIを業務導入している企業の管理職・マネージャー1,008名を対象とした本調査では、約55%の企業がすでに生成AIを活用している一方、7割以上が「使いこなせない層による業務支障」を実感しているという深刻な実態が明らかになった。

AIと人間の協働イメージ
企業におけるAI活用の現場(イメージ)

ChatGPT が最多利用、だが活用は限定的

調査によると、企業で最も利用されている生成AIツールは**ChatGPT(57.7%)**で、次いでGoogle Gemini、Microsoft Copilotが続く。主な活用業務は以下の通りだ。

  • 文書作成: 63.1%(議事録、報告書、メール下書き)
  • 情報収集・リサーチ: 51.4%
  • データ分析・集計: 38.7%
  • プログラミング支援: 22.3%

導入目的の66.2%が「業務効率化」と回答しており、約9割の企業が今後のAI投資予算の増額を希望している。しかし現実には、基幹システムや業務フローへの本格的な組み込みは「これから」という企業が大半であり、試験導入や一部業務での利用にとどまっているのが実態だ。

最大のボトルネックは「課長・リーダー職」

本調査で最も注目すべき発見は、AI活用を阻むのは現場の若手社員ではなく、中間管理職層であるという点だ。「AIを使いこなせない層」として最も多く挙がったのは**課長・リーダー職(29.3%)**で、一般社員(18.7%)や部長職(15.2%)を大きく上回った。

この結果は、AI導入の推進力が「トップダウンの号令」だけでは機能しないことを示している。経営層がAI活用を掲げても、実際の業務フローを設計・管理する中間管理職がツールを理解していなければ、現場での定着は進まない。

調査では、AI活用の課題として以下も挙がっている。

  • セキュリティ懸念: 33.5%
  • 具体的な活用アイデアの不足: 26.0%
  • 情報システム部門の協力不足: 22.4%

2026年はAIが「評価される年」へ

MIT Technology ReviewやTechCrunchなど海外メディアも、2026年を「AIが試す年から評価される年への転換点」と位置づけている。企業はもはや「AIで何ができるか」という新奇性には関心を示さず、求められるのは投資対効果(ROI)と具体的な数字だ。

さらに、AIエージェント技術の普及も加速している。マッキンゼーの調査では企業の62%がAIエージェントへの関心を示し実験を開始しているが、全社規模で展開できている企業はわずか23%にとどまる。「ツールとしてのAI」から「同僚としてのAI」への移行は、組織全体のリテラシー底上げなしには実現しない。

今後の展望

調査結果が示すのは、AI導入の成否を分けるのはテクノロジーの性能ではなく、組織のOS更新——すなわちマネジメント層の意識改革、部門横断的なルール設計、セキュリティポリシーの明確化——にかかっているということだ。

特に中小企業にとっては、全社一斉導入よりも「特定業務での成功事例づくり」から始め、管理職層を巻き込んだ段階的展開が現実的なアプローチとなる。AI投資予算を確保するだけでなく、その予算の一部を「人材育成」に振り向けられるかどうかが、2026年後半の競争力を左右するだろう。

生成AI導入の真のボトルネックは技術ではなく組織の変革力にある。中間管理職のAIリテラシー向上と、小さな成功体験の積み重ねが、DX推進の鍵となる。