概要

2026年1月、コーレ株式会社が管理職・マネージャー1,008名を対象に実施した「企業の生成AI利用実態調査」の結果が公表された。生成AIの導入自体は進んでいるものの、7割超の管理職が「使いこなせない層による業務支障」を感じていることが明らかになった。投資意欲は約9割が増額に前向きである一方、組織全体への定着には依然として大きな壁が立ちはだかっている。

AIを活用するビジネスパーソンのイメージ
企業の生成AI活用は拡大する一方、定着には課題が山積している(イメージ)

利用ツールと活用業務の実態

調査によれば、企業で最も利用されている生成AIツールはChatGPT(OpenAI系)で57.7%、次いでGemini(Google系)が39.3%、Microsoft Copilotが30.3%となった。活用業務としては文書作成が63.1%で最多、情報収集・要約が51.4%、アイデア出しが37.4%と続く。

導入目的については「業務の時間短縮・効率化」が66.2%と圧倒的で、コスト削減(29.2%)や業務品質の標準化(28.8%)を大きく上回った。企業が生成AIに求めるのは、まず目の前の業務スピードの改善であることがわかる。

最大の課題は「使いこなせない層」の存在

今回の調査で最も注目すべきは、7割超の管理職が「使いこなせない層による業務支障」を実感しているという結果だ。使いこなせない層として最も多く挙げられたのは課長・リーダー職(29.3%)で、経営層(26.8%)、一般職(25.6%)がそれに続く。

現場の推進役であるはずの中間管理職がAIを使いこなせていないことは、組織全体のDX推進にとって深刻なボトルネックとなっている。ツールの導入だけでは不十分であり、階層別の研修プログラムや実務に即したハンズオントレーニングの整備が急務だ。

投資と組織体制の現状

年間のAI関連投資額は、100万〜500万円未満が21.5%、500万〜1,000万円未満が20.0%と、中規模の投資が主流だ。今後の投資については「とてもそう思う」(29.6%)と「ややそう思う」(56.9%)を合わせ、約9割が増額に前向きな姿勢を示した。

組織体制については、AI専門チームを持たない企業が29.2%ある一方、約7割が何らかの推進体制を整備している。しかし、セキュリティ懸念(33.5%)、活用アイデア不足(26.0%)、情報システム部門の非協力(22.4%)といった課題が、投資意欲と実際の活用成果との間にギャップを生んでいる。

今後の展望

2026年は生成AIが「試す年」から「評価される年」へと移行する転換期にある。企業は単なるツール導入から、投資対効果の検証と組織全体への浸透にフォーカスを移す必要がある。特に中間管理職のリスキリングと、部門横断的な活用戦略の策定が、AI定着の鍵を握るだろう。

生成AIの真価は、一部の先進的な社員だけが使いこなすことではなく、組織全体の業務プロセスに自然に溶け込むことで発揮される。DXコンサルティングの現場では、ツール選定以上に「人と組織の変革」が問われている。